モンスタークレーマーとは、企業などに対して理不尽な理由で苦情を訴え、度を超えた要求を突きつける消費者をいいます。
ここでは、モンスタークレーマーの対応方法について考えていきます。
モンスタークレーマーの特徴
正当なクレームが問題解決を試みるのに対し、モンスタークレーマーによるクレームは、担当者を困らせることや、不当な利益を得ることを目的としている傾向があります。
具体的には、以下のような特徴があります。
- 長時間にわたる拘束
- 担当者や会社の従業員に対する人格攻撃・暴言
- 過剰な謝罪や土下座の要求
- 不当な金銭要求
- 大声を出したり、机を叩いたりするなどの威圧的な態度
クレーマーへの初動対応
クレームに直面した場合、最も重要なのは、対応する従業員が感情的にならず、以下のポイントを意識して冷静に対応することです。
事実や状況を確認・把握する
相手の主張を遮らずに最後まで聞き、いつ、どこで、何が起きたのか、どのような点に不満を持っているのかを確認・把握します。
会社が定めた対応方針を説明する
会社の定めるクレーム対応マニュアルや基準があれば、それに沿った対応を心がけます。
安易に非を認めたり、個人的な判断で約束したりすることは避け、会社の公式な見解として誠実に説明を行います。
上司や責任者が引き継ぐ・複数人で対応する
自身の判断能力を超える要求であったり、対応に困ったりした場合は、速やかに上司や責任者に報告します。
複数人で対応することで、ひとりが話し合い、もうひとりが記録を取るなど役割分担することで、冷静な対応を維持しやすくなります。
また、万が一のトラブル発生時にも証人となります。
組織として対応することで、担当者の負担を軽減し、より適切な判断が可能になります。
悪質なモンスタークレーマーへの対応方法
初期対応で悪質だと判断した場合や、初期対応では収まらない悪質なクレームに対しては、さらに、以下のような点に注意すべきです。
会話・やり取りの内容は必ず記録を残す
クレーム対応の日時、対応者、相手の氏名・連絡先、クレーム内容、相手の要求、相手の言動、会社の対応内容などを詳細に記録します。
可能であれば、相手に断りを入れた上で、ボイスレコーダーなどで会話を録音することも有効な証拠となります。
金銭要求・土下座強要・暴言は断固として拒否する
不当な金銭要求、土下座の強要、人格攻撃や暴言など、社会通念上受け入れられない要求や言動に対しては、毅然とした態度で明確に拒否します。
「当社の規定では対応できません」「そのような言動は受け入れられません」と、拒否する理由を簡潔に伝えるべきです。
(必要に応じて)対応場所を店舗外にしたり、弁護士を介入してやりとりする
店舗や人目のある場所での対応は、他の顧客への影響や従業員の安全確保の観点から避けるべきです。個室に案内したり、後日改めて電話や書面で回答することを伝えたり、場合によっては弁護士などの第三者を交えた話し合いを提案することも検討します。
会社として従業員を守るために取るべき対応
モンスタークレーマーへの対応は、従業員にとってストレスがかかるものです。
そのような状況において、会社としては以下の対応が求められます。
マニュアルの策定・内容の周知
従業員が適切かつ冷静に対応するためにはクレーム対応に関するマニュアルの策定と、その内容を全従業員に周知することが重要です。
従業員はマニュアルに依って立つことで、判断に迷うことなく、モンスタークレーマーに対応することができます。
メンタルへの配慮
会社は対応後の従業員のメンタルにも配慮する必要があります。
専門家によるカウンセリングの機会を提供したり、気軽に相談できる窓口を設置したりするなど、従業員のメンタルをフォローする体制を構築し、従業員が安心して働き続けられるよう、会社全体でサポートする姿勢を示すことが、離職防止にも繋がります。
まとめ
モンスタークレーマーによる悪質なクレームは、対応する従業員にとっては大きな負担となります。
対応マニュアルの整備や従業員教育など組織として対応を整備しておくことが、モンスタークレーマーから従業員と会社を守るために不可欠です。
モンスタークレーマーへの対応方法に悩まれている場合はぜひ澁谷・坂東法律事務所にご相談ください。