ネット販売を事業として行う企業にとって景品表示法の遵守は避けて通れません。
ここでは、景品表示法とはどのような法律か、また会社でネット販売を行うときの注意点について考えていきます。
景品表示法の全体像
景品表示法には主に、販売促進のために提供される景品類が過度に行き過ぎること(以下、「過大な景品類の提供」といいます。)を防止する規制と商品やサービスに関する表示が消費者に誤解を与えるような不当なものであること(以下、「不当表示」といいます。)を防止する規制のふたつがあります。
これにより、消費者が商品の品質や価格、取引条件などを正しく比較・判断できる健全な市場を確保しているのです。
実店舗での販売だけでなく、ネット販売やSNS広告などのあらゆる形態の広告・表示にこの法律が適用される点には注意が必要です。
過大な景品類の提供
景品表示法は、過大な景品類の提供を禁止していますが、景品表示法における「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、商品やサービスの購入・利用に付随して提供される経済上の利益全般をいいます。
景品類には、金銭や物品だけでなく、サービスや割引、ポイントなども含まれます。
景品類の提供方法は、「懸賞による景品」と「取引に付随する景品(総付景品)」のふたつであり、それぞれ異なる規制が適用されます。
懸賞制限
「懸賞による景品」とは、くじ引きや抽選、ゲームの勝敗など、偶然性や特定の行為の優劣・正誤によって景品を提供するものです。
景品表示法では、この懸賞によって提供できる景品類の限度額に制限を設けています。
ネット販売で問題になるケースはほとんどの場合一般懸賞ですが(商店街や業界などが共同で行う場合は共同懸賞として別の限度額が定められています。)、一般懸賞によって提供できる景品類の限度額は、以下のように取引価額に応じて定められます。
| 懸賞による取引価格 | 景品類限度額 | |
| 最高額 | 総額 | |
| 5000円未満 | 取引価額の20倍 | 懸賞に係る売上予定総額の2% |
| 5000円以上 | 10万円 | |
ネット販売で問題になる例としては、SNS上で「フォロー&商品購入で豪華景品が当たる!」といったキャンペーンで、景品が高額すぎる場合や、オンラインストアで「〇〇円以上購入でAmazonギフト券10万円分が当たる!」といった企画で、景品額が規制を超える場合などはあります。
総付景品制限
「総付景品」とは、懸賞によらず、商品やサービスの購入者全員に、または特定の条件を満たした全員に提供される景品類をいいます。
たとえば、「〇〇を購入した方全員にプレゼント」といったケースが該当します。
総付景品についても、取引価額に応じて以下の通り景品の上限額が設定されています。
| 懸賞による取引価格 | 最高額 |
| 1000円未満 | 200円 |
| 1000円以上 | 取引価額の10分の2 |
ネット販売で問題になる例としては、通販サイトで「1,000円の商品購入で、通常価格500円の高額なノベルティを必ずプレゼント」といった企画で、景品額が規制を超える場合などが考えられます。
不当表示
景品表示法は、消費者に誤解を与えるような不当な表示を全て禁止しています。
特に問題となることが多いのが、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」です。
優良誤認表示
優良誤認表示とは、商品やサービスの品質、規格、その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると消費者に誤解させる表示、または事実に反して競合他社のものよりも著しく優良であると誤解させる表示を指します。
ネット販売で問題になる例としては、オンラインショップの商品レビューを自社で操作したり、サクラを雇って高評価を多数あるかのように見せかけたりしたことや商品の画像を過度に加工し、実際よりも豪華に見せたり、サイズを大きく見せたりする表示などが該当します。
有利誤認表示
有利誤認表示とは、商品やサービスの価格やその他の取引条件に関して、実際のものよりも著しく有利であると消費者に誤解させる表示、または競合他社のものよりも著しく有利であると消費者に誤解させる表示を指します。
価格の割引率や、キャンペーン期間、他社との比較などにおいて、消費者が誤解するような表示が規制の対象となり、 「通常価格〇〇円が今だけ半額!」と表示しながら、その「通常価格」が過去にほとんど販売実績のない価格であったり、ごく短期間しか適用されていなかったりする場合や 「業界最安値」「他社より〇〇円お得」と表示しながら、その根拠となる比較対象や調査方法が不明確であったり、事実と異なっていたりする場合などが該当します。
まとめ
景品表示法に違反した場合、消費者庁などから行政指導、措置命令、課徴金納付命令といった処分を受ける可能性があります。
ネット販売を行う際に、景品表示法に照らして問題がないか、判断に迷う場合は弁護士に相談することをおすすめします。







