従業員が勤務時間外に働いている場合には、会社は労働基準法で定められている時間外労働手当を従業員に支払わないといけません。
「サービス残業」という言葉もありますが、会社が残業代不払いを放置しておくと、後日、従業員から過去2年分さかのぼって請求されたこともあります(労働基準法115条)。また、時間外労働や休日労働の割増賃金の不払いについては、不払い額と同額の付加金(労働基準法第114条)、年14.6%の遅延損害金も請求される場合もあります(賃金の支払の確保等に関する法律6条)。さらには、労働基準法によると、時間外労働や休日労働の割増賃金の不払いに対しては、6ヶ月以下の懲役、30万円以下の罰金という刑事罰が科されます(労働基準法119条1号)。
だからと言って、従業員から残業代を請求された場合に、請求された金額を支払わないといけない分けではありません。まず、会社としては、従業員が主張している残業時間というものが、本当に労働基準法上の労働時間に該当しているかどうかを検討する必要があります。労働時間に該当していないと判断できる場合、そのことを裏付けるような証拠を準備して、労働時間にあたらないと主張していくこと必要になります。
一方、労働時間に該当する場合には、それが割増賃金を支払わなければならない労働時間にあたるのかどうかを検討していくことになります。例えば、裁量労働制や事業場外のみなし労働時間制、あるいは年俸制であるなどです。
また、既に、固定残業代等として、割増賃金手当を支給している場合には、そのことを主張することになります。
いずれも個々に有効な主張となるかどうかを吟味することになるでしょう。
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